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1期9話
1期9話「仲間でライバル」

果林(ここは 本当の弱い私を抱き締めてくれた 大切な場所)

果林(でも もっと…)

果林(もっと…!)



1年生A「果林先輩!」

果林「あ…」

1年生B「あ… あの…」

1年生B「サイン お願いできますか!?」

果林「いいわよ」


果林「はい どうぞ」

1年生A「ありがとうございます!」

1年生B「ライブあったら絶対行きます!」

1年生A&B「わあ…!」

果林「モデルじゃなくて スクールアイドルの方なのね」


せつ菜「ハァッ ハァッ ハァッ…!」

果林「どうしたの?」

せつ菜「着替えてる最中に 他の生徒に見つかりそうになって…」

果林「別にいいんじゃない? 生徒会長ってバレても」

せつ菜「それは困ります!」

せつ菜「それに最近 正体を明かさないスクールアイドルって 変身ヒーローみたいでいいかもと思えてきまして…」

果林「そうかしら…」


生徒「あれ本物かなあ?」

生徒「わあっ!」

生徒「わあ…!」


果林「いい感じに上がってるみたいね 同好会の人気」

せつ菜「あ…」


かすみ「皆さ〜ん! かわいい写真が撮れたので〜 お裾分けしちゃいますね〜」

歩夢「うわ〜!」

璃奈「『きゅんっ』」

果林「あら かわいいわね」

かすみ「えへへ〜 もっと褒めてくれてもいいんですよ〜?」

果林「パンダの方よ」

かすみ「かすみんを見て下さいよ!」


彼方「最近ね〜 いろんな人に声をかけてもらえるようになった気がするよ〜」

果林「みんなもそうなのね」

しずく「最初の頃は同好会の存在すら知られてなかったのに」

しずく「PVや璃奈さんのライブの影響でしょうか」

愛「みんな 頑張ってるもんね〜」

エマ「うん いい感じだよね〜」

せつ菜「順調だからこそ 先のことを考えなくては!」

せつ菜以外「あ…」

せつ菜「少しずつではありますが 私たちはソロアイドルとして 成長していると思います」

せつ菜「ですが 同好会としての私たちは まだ何も成し遂げていません」

彼方「私たちのライブ…」

しずく「活動を再開した時に みんなで話しましたよね」

エマ「今なら 実現できるかなあ」

愛「もう一度 みんなで話してみようよ!」

しずく&せつ菜「はい」

果林「ええ」

侑, 歩夢, かすみ, 彼方, エマ, 璃奈「うん」


彼方「あっ!」

エマ「どうしたの?」

彼方「遥ちゃんが…」



遥「お邪魔します」

彼方「いつでも大歓迎だよ〜」

遥「えへ」

愛「今日は どうしたの?」

遥「実は…」

姫乃「大事なお話がありまして」

果林「あなたは?」

姫乃「はじめまして」

姫乃「藤黄学園スクールアイドル部の 綾小路姫乃と申します」

しずく「藤黄って…」

姫乃「突然ですが 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の皆さん」

姫乃「私たちと一緒に ライブに出ませんか?」

果林以外「え〜!?」




いこう! 明日へ

虹のMelodies


青空 雨あがり

希望の 風吹いて(Blowing)

予感のなか 踏み出すよ 最初の一歩


世界が きらめいて

ココロに 湧き上がる(Feeling)

「いま駆け出したいんだ…!!」

(Move on!  Move on!)


重ねあう 小さなメロディ(Our Colors)

弧を描いてほら 街中に響くよ

(Reaching for far blue sky!)

いっしょに歌おう!


溢れだす この気持ち

胸の奥 もう止まらない

虹色Passions!

勇気に染まるColors


果てしない 空のむこう

ミライへと 橋をかけよう


高鳴る シンパシー

キセキ咲いてくよ

いこう! 明日へ

光れMelodies


そうきっと ひとりじゃないよ

いつもみんな いるから

夢と夢 繋いでいこう



かすみ「『DIVER FES』?」

果林「毎年お台場で行われている 音楽イベントよね」

遥「はい! いろんなジャンルのミュージシャンが参加するんですよ」

姫乃「今年は スクールアイドル枠に 藤黄学園と東雲学院が呼ばれたんですけど 遥さんと相談して 虹ヶ咲学園の皆さんを推薦させて頂いたんです」

彼方「うう〜 遥ちゃ〜ん! ありがと〜!」

遥「えへへ」

しずく「でもどうして綾小路さんが?」

姫乃「ウフッ この前の合同演劇祭で あなたの歌を聴いたのがきっかけです」

しずく「あ…」

姫乃「皆さんがどんなライブをするのか 見たくなったんです」

姫乃「特に 朝香果林さんは雑誌でよく拝見していましたし」

姫乃「人気の読者モデルがスクールアイドルをするなんて すっごく魅力的じゃないですか」


かすみ「ここここここ… これって すっごくお客さん来るんですよね!?」

遥「はい 3,000人くらい」

かすみ「3,000!? ひょえええ!」

かすみ「出ましょうよ! こんなおっきなライブに出るチャンスなんて そうそうないですよ!」

遥「でも 一つだけ問題があって…」

かすみ「へ?」

遥「私たちスクールアイドルが披露できるのは 全部で3曲だけなんです」

遥「東雲と藤黄はグループなので問題はないんですけど 虹ヶ咲の皆さんはソロアイドルですから…」

侑「9人で 9曲…?」

遥「なので 正直お誘いするか迷ったんですけど…」

姫乃「でも 出来たばかりの同好会にとっては悪い話ではないですよね?」

璃奈「それは…」

しずく「確かに…」

姫乃「フフッ」



エマ「メ… メドレー形式はどうかな?」

愛「それなら 1曲だよね!」

しずく「9人でやったら 10分は軽く超えてしまいますよ?」

侑, 歩夢, かすみ, 愛, 彼方, せつ菜, エマ, 璃奈「う〜ん…」

侑「どうしたもんだろうね…」

果林「あれこれ考えるだけ無駄よ」

果林「今回のステージに立てるのは この中の一人だけ」

果林「誰が出るか決めましょうよ」

果林以外「あ…」



かすみ&しずく「あ… アハハ…」

歩夢「く… くじ引きとかどうかな?」

エマ「そ… それがいいかも!」

果林「互いに遠慮し合った結果運頼み そんなのでいいわけ?」

せつ菜「ですが私たちは…!」

果林「衝突を怖がるのは分かるけど それが足かせになるんじゃ意味ないわ」

せつ菜「あ…」

果林「それで本当に ソロアイドルとして成長したと言えるの?」

果林「遥ちゃんはともかく 綾小路さんは 好意だけで私たちを誘ったわけじゃないでしょうね」

彼方「え?」

璃奈「そうなの?」

果林「いずれにしても 今回は同好会が試されるライブになる」

果林「だから 本気でそれに立ち向かえるメンバーを選ぶべきよ」


果林「今日は帰るわね」

果林以外「あ…」

エマ「果林ちゃん…」



果林「お疲れさまでした」



果林「また道1本間違えたかしら…」


果林「ん… んん…」

果林「ええ?」


果林「ハァ… エマに助けてもらおうかしら…」

果林「ハァ…」

侑「あれ?」

果林「うぁっ!」

せつ菜「果林さん」

歩夢「お買い物ですか?」

果林「いや〜…」

せつ菜「もしかして…」

せつ菜「果林さんもこういうの好きだったんですか!?」

果林「え?」

果林「あ〜…」


せつ菜「ありました! 買ってきますね!」


果林「あっ…」

果林「これって…」


侑「最近 スクールアイドルのグッズも 取り扱い始めたらしくて」

歩夢「だから せつ菜ちゃんに連れてきてもらったんです」

果林「へえ…」

侑「ああっ!」

果林「あ…」

侑「東雲と藤黄のもある!」

侑「綾小路さんだ すごいなあ」

せつ菜「お待たせしました」

果林「ねえ あなたのグッズはないの?」

せつ菜「え? フフッ ないですよ〜」

せつ菜「ちょっと 悔しいですけどね」

せつ菜「いつか私たちも ここに並べるようになりたいです」


果林「私 そろそろ行かなきゃ」

歩夢「用事あったんですか?」

せつ菜「引き止めてしまって すみません」

果林「いいのよ」

果林「時間どおりに 着くといいけど…」

侑「ここから 遠いんですか?」

果林「そんなことはないはずなんだけど 何だか分かりにくい場所にあって…」

果林「どこだか 分かる?」

侑, 歩夢, せつ菜「『ダンススクール』」


歩夢「フフッ」

歩夢「もう 着いてますよ」

果林「ああっ」


果林「あ… ああ…」

果林「うわっ!」

せつ菜「気付いてなかったんですか?」

歩夢「地図を見ても分からないなんて…」

侑「もしかして 方向オンチ?」

果林「わ… 悪い?」

侑「意外だけど かわいいです!」

果林「あっ… あ…」

せつ菜「ダンス 習ってるんですか?」

果林「たまたま仕事でここの先生に会ってね」

侑「さすが果林さん!」

せつ菜「そうですね 陰で努力してるなんて 尊敬します」

果林「あ…」

果林「努力しなきゃ ライバルに追いつけないからね」


果林「あなたたちのことよ」

歩夢「えっ?」

せつ菜「あ…」

果林「何ていうか 手を抜けないのよ」

果林「せっかく部活に入ったんだから 楽しみたいって気持ちもあるんだけど…」

果林「だから… 昨日は 言い過ぎたかもしれないわ」

果林「ごめんなさい」

せつ菜「謝らないで下さい!」

侑「果林さんは正しかったと思います」

歩夢「私たちはソロアイドルだもんね」

せつ菜「ええ お互い切磋琢磨していかなくては 成長できません」

せつ菜「それなのに私は また皆さんに迷惑かけたくなくて 遠慮してました」

侑「多分 同好会のみんなもね」

せつ菜「ちゃんと言って頂いて ありがとうございました!」


果林「フフッ… 生真面目ね」

侑「フフッ 果林さんもだよね」

果林「え?」

侑「何だかんだいって世話好きだし」

歩夢「フフッ そうかも」

果林「そうかしら…」

せつ菜「まだ少し 時間ありますか?」

果林「あ… ええ」

せつ菜「誰がDIVER FESのステージに立つか みんなで相談しませんか?」

侑, 歩夢, 果林「え!?」

歩夢「今決めるの?」

せつ菜「はい! 果林さんの本気は 全員に届いているはずですから」

せつ菜「私たち同好会が 次のステップに進むために 必要なことだと思うんです」

せつ菜「どうでしょう?」

果林「フッ…」

果林「いいんじゃない?」


せつ菜「では 皆さんに連絡しますね!」



彼方「ん?」



かすみ, しずく, 璃奈「あ〜…」



果林(ソロアイドルで仲間だけど ライバル)

果林(それが 私たちの…)



かすみ「客席見ました!? すっごい人ですよ!」

しずく「見たよ すごいよね!」

かすみ「やっぱりかすみんも出たかったですぅ〜!」

歩夢「全員立候補してたもんね」

璃奈「結局 自分以外を推薦することになったけど…」

愛「それなら 今回は一人しかいないよね!」


歩夢, かすみ, しずく, 愛, 彼方, せつ菜, 璃奈「お〜!」

彼方「似合ってる〜」

エマ「どう? 着心地は」

果林「ええ 最高よ」

エマ「よかった 果林ちゃんに似合うと思ったんだ」

侑「あ〜 楽しみだな〜!」

侑「スクールアイドルの出番って まだ全然先だよね」

せつ菜「ええ 予定どおり進んでも 夕方以降になるかと」

侑「じゃあ 私も少し 会場見学してこよっかな こんな機会そうそうないし」

歩夢「あっ 私も行くよ」



歩夢「うわ〜! 本当にたくさんだねえ」

侑「ダンスミュージックにロックにポップス それにスクールアイドル」

侑「本当にいろんな音楽が集まってるんだねえ」


女性A「スクールアイドルも出るんだ!」


侑&歩夢「ん?」


女性B「虹ヶ咲学園? 知ってる?」

女性A「ううん 知らない」

女性B「ねえそれよりさあ ミラージュ出るんだって!」

女性A「うそ!」


侑「そりゃそうだよね ここには いろんな音楽のファンが集まってるんだし」

侑「果林さん… こんな場所で歌うんだ…」



姫乃「朝香さんが出られるんですね」

果林「ええ 虹ヶ咲学園の代表として 恥ずかしくないパフォーマンスをしてみせるわ」

果林「モデルではなく スクールアイドルの 朝香果林としてね」

姫乃「このフェスに来ている方は みんながスクールアイドルに興味があるわけではありません」

姫乃「いわば アウェーのようなものです」

姫乃「それでも スクールアイドルの魅力を知ってもらいたい」

姫乃「私は 一人でそこに立ち向かうあなたを尊敬しているんです」

姫乃「お互い全力で頑張りましょう」

姫乃「では 後ほど」



遥「こんにちは! 東雲学院スクールアイドル部です!」

遥「ここからはスクールアイドルの時間ですよ!」

遥「一緒に盛り上がりましょう!」



しずく「遅いですね 果林さん…」

璃奈「もうすぐ出番なのに…」

エマ「スマホは置きっぱなしだし…」

侑「う〜ん… まさか迷子!?」

かすみ「へ? 子供じゃあるまいし そんなはずあるわけ…」

侑, 歩夢, せつ菜「あるかも…」

かすみ「あるんですか!?」

エマ「捜さなきゃ!」



エマ「果林ちゃ〜ん!」


せつ菜「どうしたんですか!?」

璃奈「具合悪いの?」

果林「…ビビってるだけよ」

侑&かすみ「あ…」

果林「フフッ…」

果林「我ながら 情けないったらないわね」

果林「こんな土壇場で プレッシャー感じちゃうなんて…」

果林「ほんと… みっともない…」

果林「あんな偉そうなこと言ったくせに…」

果林「ごめんなさい…」


せつ菜「そんなことないですよ」

エマ「大丈夫だよ 果林ちゃん」

果林「でも… こんなんじゃ…」

璃奈「大丈夫」

彼方「私たちがいるじゃん」

侑「フフッ」

しずく「そうですよ ソロアイドルだけど 独りぼっちじゃないんです」


果林「なんで… そんなに優しいのよ…」

愛「分かるでしょ? そんなの聞かなくたってさ」


果林「スー… ハー…」

果林「うん 大丈夫」

かすみ「果林先輩!」

かすみ「ほら タッチですよ! かすみんのエネルギー 分けてあげます!」

侑, せつ菜, エマ「フフッ」


かすみ「えへへっ」

愛「アハッ!」

彼方「イェイ」

しずく「フフッ」

侑&歩夢「アハハッ!」

エマ「フォルツァ!」

せつ菜「いってらっしゃい!」


果林「いってくる!」

歩夢「侑ちゃんどこ行くの?」

侑「ちゃんと果林さんを応援したいんだ!」



果林(仲間だけど ライバル)

果林(ライバルだけど…)

果林(仲間!)



『VIVID WORLD』

Just like a Rainbow Colors…


空からこぼれ出す 星座の瞬きは

目を閉じてもまぶしく

光る 走る 熱く


一人きりじゃきっと 知らずにいた

弱さ 痛み かげり全部

好きだって(そばで)

笑うキミが好き


白とか黒 そう Yes or No

そんなに 単純じゃないなら

答えなんて 誰も知らない

自由に未来創ろう


Vividな世界 ねぇどうして

一緒だったら 心はずむの

新しい "私"のChoice 明日を

彩っていく


Find a way キミとだったら

迷子だって 悪くはないね

正解も 輝きもひとつじゃないから

Just like a Rainbow Colors…



果林「ハァ… ハァ…」

果林「ハァ… ハァ…」

姫乃「ステキです…」

姫乃「あっ!」

美咲「見られてよかったわね 果林さんのステージ」

美咲「モデルデビューした時から大ファンって言ってたものね」

姫乃「あ…」

姫乃「もう 美咲さんからかわないで下さい!」

美咲「フフッ」



女性A「かっこいいじゃん!」

女性B「うん! 初めて見たけど好きになっちゃった!」




ゆっくりと走るこの道 何かが生まれかけてるんだ

それを伝えたいよ 君へと伝えたいんだ


毎日見上げる空の 青さも 季節ごと変わって

決まりはないね 自由に 描いてと 誘われてるよ


あせらないで 行こう!

ときめく 時間を楽しんで もっと!

みんな 自分が好きなことを 追求しちゃおう


どこに向かうか まだ分からないけど

面白そうな未来が待ってると

笑いあえる 君がいれば

嬉しい 今日も ありがとう


さあ これからはそれぞれの地図マップ

広げたら 気軽に飛び出そう

夢見て 憧れて また夢が見たいんだ

見たい、見たいんだ!



かすみ「やっぱりかすみんもDIVER FES出たかったですぅ〜!」

愛「愛さんも〜!」

愛「ステージのカリン めっちゃキラキラしてて羨ましかった〜!」

果林「次があるでしょ」

愛「え?」

かすみ「えっ?」

果林「私たちのライブよ」

エマ「フフッ そうだね」

しずく「やりましょう!」

全員「うん!」

せつ菜「そうだ! その話し合いも兼ねて 合宿をしましょう!」

彼方「おお いいねえ」

かすみ, しずく, せつ菜「やりましょう 合宿!」

侑, 歩夢, 果林, 愛, 彼方, エマ, 璃奈「やろう 合宿!」



侑「次回 『夏、はじまる。』」