1期6話へ もどる 1期8話へ
1期7話
1期7話「ハルカカナタ」

彼方(彼方ちゃんはいつも全力です)

彼方(週5日のアルバイトも お料理を作るのも)

彼方(世界一大好きな遥ちゃんの笑顔が見られるなら…)


遥「おいしい!」


彼方(ど〜んとこいだよ)


遥「お母さんは?」

彼方「夜勤だから もう出たみたい」

遥「そうなんだ…」

遥「あのねお姉ちゃん 今度の日曜日 ライブに出ることになったんだよ」

彼方「ほんと!? すごい! どこで? どこで?」

遥「お台場のヴィーナスフォート 私 センターに選ばれて…」

遥「おお…」

彼方「遥ちゃん 最前列で見るよ!」

彼方「すごいなあ 東雲学院のスクールアイドル部のセンターなんて〜!」

彼方「頑張ってたもんね〜」

遥「へへっ 私もお姉ちゃんのライブ 早く見てみたいなあ」

彼方「彼方ちゃんも 早く遥ちゃんに見せたいよ〜」



彼方「フフッ」



遥「おはよう お姉ちゃん」

彼方「おはよ〜 今朝は随分早いねえ」

遥「うん 手伝おうと思って」

彼方「いいよいいよ〜 遥ちゃんはゆっくりしてて〜」

遥「でも…」

彼方「もうすぐだから 待っててね〜」


遥「お姉ちゃん!」

遥「あのね 今日お姉ちゃんの同好会 見学しに行ってもいい?」

彼方「ん? わあ…!」

彼方「大歓迎!」




いこう! 明日へ

虹のMelodies


青空 雨あがり

希望の 風吹いて(Blowing)

予感のなか 踏み出すよ 最初の一歩


世界が きらめいて

ココロに 湧き上がる(Feeling)

「いま駆け出したいんだ…!!」

(Move on!  Move on!)


重ねあう 小さなメロディ(Our Colors)

弧を描いてほら 街中に響くよ

(Reaching for far blue sky!)

いっしょに歌おう!


溢れだす この気持ち

胸の奥 もう止まらない

虹色Passions!

勇気に染まるColors


果てしない 空のむこう

ミライへと 橋をかけよう


高鳴る シンパシー

キセキ咲いてくよ

いこう! 明日へ

光れMelodies


そうきっと ひとりじゃないよ

いつもみんな いるから

夢と夢 繋いでいこう



彼方「ジャーン! 遥ちゃんで〜す!」

遥「今日は よろしくお願いします!」

侑「すごいすご〜い! あの東雲学院で注目度ナンバーワンの近江遥ちゃんに 会えるなんて」

侑「トキめいちゃう〜!」

遥「いえ そんな…」

歩夢「侑ちゃん 他校のスクールアイドルもチェックしてるんだね…」

侑「だって あの東雲学院だよ?」

侑「都内でも有名なスクールアイドル部に 期待の1年生現るって ネットでも話題なんだから!」

彼方「そうなんだよ〜 侑ちゃん 分かってる〜 フフッ」

遥「急なお願いだったのに ありがとうございます」

せつ菜「いえ お越し頂いて光栄です」

侑「かわいいうえに礼儀正しくて… 天使!」

彼方「でしょ〜?」

彼方「何かね 最近の彼方ちゃんがと〜っても楽しそうだから 同好会に興味津々なんだって〜」

侑「うんうん 彼方さん どんな練習も楽しそうだもんね」

彼方「フフフ… 今日の彼方ちゃんはひと味違うよ〜!」

歩夢「妹さんも彼方さんの様子を見たいって ステキな関係だよね」

侑「うん!」

侑「よ〜し 遥ちゃんに ニジガクのスクールアイドルのいいところ い〜っぱい見てもらおう!」



かすみ「彼方先輩の妹とはいえ 敵情視察に来たことに変わりありません!」

かすみ「ここはいかに我々が圧倒的ダークホースのスクールアイドルであるか 見せつけてやりましょう!」

しずく「あの〜 スクールアイドルはライバルではあっても 敵ではないのでは?」

かすみ「いいえ敵です!」

かすみ「しかも相手は同じ1年生なのに ネットでちやほや… じゃなくて 注目されてて羨ましい! いや悔しい!」

かすみ「そう思うでしょ しず子!」

しずく「え〜 私は別に…」

かすみ「そこは悔しがって!」

愛「おお〜 かすみん燃えてる〜!」

かすみ「我々が東雲学院のスクールアイドル部に負けてないってこと 部長のかすみん自ら証明してみせます!」

愛「あれ? かすみんって部長だったの?」

しずく「自称ですけど…」

果林「でも実際 知名度に関しては うちと東雲学院じゃ 天と地ほどの差があるわよ?」

かすみ「うぐっ それを言われると…」

愛「校内では 割と有名になってきたんだけどね〜」

愛「ん?」

エマ「ティーセットを借りてきたよ〜」

エマ「遥ちゃんに会うの とっても楽しみだね〜」

璃奈「うん 天使みたいにかわいいって 彼方さんよく言ってるし」

かすみ「かわいさでは負けませんよ!」

愛「よ〜し! 愛さんも気あい入れちゃおっかな〜 愛だけに!」

愛「なんてね! アハハハッ!」



遥「近江遥です よろしくお願いします」

しずく「こちらこそ よろしくお願いいたします」

愛「楽しんでってね〜」

果林「よろしくね」

エマ「待ってたよ〜」

璃奈「よろしく 璃奈ちゃんボード 『にっこりん』」

遥「わあ… ありがとうございます!」


かすみ「はじめまして〜 あなたの『かわいい』はここにいる! スペシャルスクールアイドルかすみんこと 中須かすみです!」

かすみ「今日はかすみんに会いにきてくれてありがと〜!」


かすみ「え!?」


かすみ「ちょっと〜! 置いてかないで下さいよ〜!」



彼方「うおおおおおお!」

彼方「遥ちゃ〜ん!」


遥「お姉ちゃんが あんなに速く走るなんて…」

侑「うん 同好会の活動が再開してから 彼方さんすごく頑張ってるんだよ」

遥「そうなんですね…」

侑「ん?」



彼方「うおおおおお!」

歩夢「彼方さん いい感じです」

歩夢「昨日よりできている気がします!」

遥「お姉ちゃん頑張って!」


彼方「うおおおおお!」

侑「すごい彼方さん! 今までで一番低い!」

彼方「うっ… くっ… うう…」

遥「頑張れお姉ちゃん!」

彼方「ぎゃふんっ」

侑「彼方さん!?」


彼方「うおおおおお!」

せつ菜「いいですね彼方さん! いい調子!」

彼方「ひゃいん!」

かすみ「うあっ!」

せつ菜「では 今日の練習は ここまでにしましょう」



侑「改めまして〜…」

全員「ようこそ 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会へ!」

遥「すごい…! 本格的!」

せつ菜「喜んで頂けてうれしいです」

侑「ほら 座って座って」

遥「あ… はい」

エマ「急いで準備したから お菓子はクッキーしか焼けなくて…」

かすみ「かすみんは特製コッペパンを用意しました!」

遥「かわいい!」

かすみ「ふふん! それほどでもありますよ〜」


彼方「はむっ」

彼方「ん〜」

彼方「遥ちゃん これ彼方ちゃんイチオシ!」

遥「じゃあ…」

遥「はむっ」

遥「おいひぃ〜!」

かすみ「にっしっし」

エマ「クッキーもたくさん食べてね」

果林「そうね エマが食べ過ぎる前に」

エマ「果林ちゃ〜ん!」


彼方「フフフフッ フフフッ」


侑「今日 見てみてどうだった?」

遥「あ… はい! お姉ちゃんも皆さんも楽しそうでした」

遥「それぞれの個性に合った練習もあって ステキな同好会ですね」

侑「ほんと? うれしいなあ!」


侑&遥「ん?」

遥「え… お姉ちゃん?」

しずく「大丈夫ですよ 枕はちゃんとありますから」

遥「え!?」

エマ「この枕 彼方ちゃんのお気に入りなの 寝心地いいんだって」

遥「あの! お姉ちゃんはよく寝ちゃうんですか?」

しずく「はい 私の知るかぎり 彼方さんは寝るのが大好きだと思いますよ」

エマ「特に膝枕で寝るのが好きだよね」

遥「膝枕!?」

愛「そうそう 愛さんもしてあげたよ〜」

遥「お姉ちゃん… 皆さんに膝枕をしてもらうほど 頻繁に寝ているんですね…」

しずく「そう言われると… 最近 いつにも増してよく寝ているような…」

璃奈「確かに…」

璃奈「練習しながら… 寝てた」

しずく「この前も 全然起きないくらい熟睡してて…」

エマ「彼方ちゃん…?」



侑「私は みんなの応援団みたいな感じかな」

遥「へえ〜 そうなんですね!」


彼方「あれ…?」

遥「目 覚めた?」

彼方「ハッ!」

彼方「くぅ〜! 遥ちゃんにお姉ちゃんの恥ずかしいところ見られてしまった!」

彼方「うぐぐぐ…!」

遥「恥ずかしくなんかないよお姉ちゃん」

遥「疲れて当然だよ? いっぱい無理してるんだから」

彼方「ん? 無理してるって何を?」

遥「やっぱり…」

彼方「遥ちゃん?」

遥「お姉ちゃん 同好会が再開してから あんまり寝てないでしょ?」

彼方「うん… つい楽しくて〜」

遥「私 お姉ちゃんが忙しすぎて 倒れちゃうんじゃないかって心配で」

遥「それで 今日見学に来たの」

彼方「そうだったの?」

遥「でも 今日のお姉ちゃんは 疲れなんて感じさせないくらい元気で楽しそうで すごくうれしかった!」

遥「いつも私を優先してくれたお姉ちゃんが やっとやりたいことに出会えたんだって」

彼方「遥ちゃん…」

遥「今のお姉ちゃんには 同好会がとても大事な場所だって よく分かったの」

遥「だから私 決めたよ」

彼方「ん? 何を?」

遥「私… スクールアイドルやめる」

彼方「ん…」


彼方「ん!?」

侑&彼方「え〜!?」

歩夢, かすみ, しずく, 果林, 愛, せつ菜, エマ, 璃奈「え…」

彼方「や… やめ… どっ…」

侑「どうして!?」

遥「このままじゃ お姉ちゃんが 体壊しちゃうから…」

彼方「彼方ちゃんが寝ちゃったせいで 遥ちゃんのこと心配させちゃったの? 大丈夫だよ〜」

遥「全然大丈夫じゃないよ!」

彼方「ああっ… あ…」

遥「お姉ちゃんはお母さんが忙しいからって おうちのこと全部して」

遥「家計を助けたいからって アルバイト掛け持ちして」

遥「奨学金もらってるからって 勉強も頑張って…!」

遥「そのうえスクールアイドルもなんて 誰だって倒れちゃうよ!」


遥「ハァ…」

遥「もういいの」

彼方「あ…」

遥「私のことより お姉ちゃんにはやりたいことを全力でやってほしいの」

彼方「遥ちゃん…」

しずく「あの… そのために遥さんは スクールアイドルをやめるんですか?」

遥「はい」

彼方「ダ… ダメ!」

彼方「そんな 遥ちゃんは夢を諦めちゃダメ!」

遥「お姉ちゃんが苦労してるの分かってて 夢を追いかけるなんて できないよ!」

彼方「あっ…」

彼方「そんなの 気にしなくていいんだよ〜」

彼方「だって 遥ちゃんは大事な妹なんだもん」


遥「どうして…?」

遥「妹だったら 気にしちゃいけないの?」

彼方「心配させちゃってごめんね 彼方ちゃん もっと頑張るから」


遥「お姉ちゃんの わからず屋!」


彼方「あっ!」

侑「遥ちゃん!」

侑「私 見てくる!」


彼方「は… 遥ちゃんが… 怒った…」



侑「遥ちゃ〜ん!」

遥「あ…」

侑「ハァ… ハァ…」


侑「本気なの? スクールアイドルやめるって」

遥「はい」

侑「あ…」

侑「本当に それでいいの?」

遥「もう 決めたことなんです」

遥「お姉ちゃんが背負ってきたものは 今度は 私が背負うべきなんです」

侑「あ…」

遥「お姉ちゃんのこと よろしくお願いします」



彼方「ハァ…」

彼方「遥ちゃん…」



侑「あの…」

彼方「昨日の夜ね…」

侑「ん?」

彼方「遥ちゃんと 話そうとしたの」


彼方《あっ…》

遥《ごちそうさま》

彼方《あ…》

彼方《ねえ スクールアイドルを…》

遥《その話題は もうおしまいにしよう?》

遥《お姉ちゃんとケンカしたくて やめるわけじゃないから》

遥《今度のライブ 絶対来てね》


彼方「…って言われたら 何も言えなくなっちゃって…」

彼方「遥ちゃん せっかくスクールアイドルになったのに 心配かけちゃって…」

彼方「遥ちゃんがやめるくらいなら… いっそ 彼方ちゃんが…」

侑「それはダメ!」

彼方「あっ…」


エマ「彼方ちゃん」

彼方「ん?」

エマ「それは本当に 彼方ちゃんが望んでいることなの?」

彼方「… 違う」

彼方「彼方ちゃんの望みは ずっと探してた夢は ここにある」

彼方「同好会が再開してから ずっと楽しかったんだ〜」

彼方「やりたいことがどんどん増えていって それを一緒に目指す仲間がいるのがすごく幸せで…」

彼方「みんなとの同好会は 彼方ちゃんにとってもう 大事な 失いたくない場所なんだよ」

彼方「でも 遥ちゃんの幸せも守りたいの」

彼方「そんなの わがままだよね…」

果林「そうかしら?」

果林「それってわがままじゃなくて 自分に正直って言うんじゃない?」

エマ「うん 自分にうそついてるより ずっといいと思うよ」

歩夢「きっと遥ちゃんも 彼方さんの幸せを守りたいんだと思います」

璃奈「似たもの姉妹だと思う」

彼方「似たもの姉妹?」

愛「だって 二人とも言ってること 一緒だよ?」

せつ菜「そうですね お二人とも全部自分一人で解決しようとしています」

彼方「でも遥ちゃんは 彼方ちゃんが守らないと…!」

侑「彼方さん 遥ちゃんはもう 守ってもらうだけの人じゃないと思う」

彼方「え…?」

侑「だってそうじゃなきゃ お姉さんのことを助けたいって あんなに真剣にならないよ」

彼方「あ…」


彼方「何となく… 分かったような気がする…」


彼方「遥ちゃんにちゃんと伝えなきゃ!」



遥「あ… あっ…」

クリスティーナ「遥さん お客様ですよ」

遥「わあ! 来て下さってありがとうございます!」

遥「あの… お姉ちゃんは一緒じゃないんですか?」

遥「今日はどうしても見てほしいんです」

遥「だって…」

侑「遥ちゃん 彼方さんが待ってるよ! 来て!」

遥「え!?」

せつ菜&クリスティーナ「フフッ」



遥「あの… 何なんですか?」

遥「あっ!」


彼方「フフッ」

遥「あ…!」



『Butterfly』

(Hey… Now listen)


初めてで一番の You’re my dearest treasure

記憶の中で 溢れる Love with you

駆け足な Day by day 手を繋いで Time goes by

強くなれたんだ その温もりで


一人きりじゃもう 両手いっぱい 広げてもまだ

足りないほどに 大きな Dreams 今

一緒に 抱きしめよう


Butterfly 羽を 広げたら

ハルカカナタ 高く飛ぼう

勇気の向こうに 美しい空

待ってるの


Butterfly 夢へ 羽ばたいて

花の季節迎えよう

叶えていけるきっと

信じて We can fly!



遥「ハァッ ハァッ ハァッ…」

遥「お姉ちゃ〜ん!」

彼方「うおっ! おおっと〜」

遥「ステキなライブだった〜!」

彼方「遥ちゃん」

彼方「ごめんね 遥ちゃんのこと 分かってなくて」

彼方「遥ちゃん 彼方ちゃんのこと とっても大事に想ってくれていたんだね」

彼方「ありがとう」

遥「あ…」

彼方「あのね 二人とも同じ想いなら お互いを支え合っていけると思うの」

遥「支え合って…」

彼方「これからはうちのこといっぱい手伝ってね」

彼方「お互い助け合って スクールアイドル続けていこ?」

彼方「二人で夢を叶えようよ」

遥「お姉ちゃんはそれでいいの? アルバイトをしながらスクールアイドルって やっぱり大変だよ?」

彼方「平気平気!」

彼方「だって 遥ちゃんがスクールアイドルをするのも 彼方ちゃんの夢なんだもん!」

遥「お姉ちゃん…」

彼方「あれ〜? 遥ちゃんは〜 彼方ちゃんがこんなにステキなライブをしたのに 今日でやめるなんて悔しいって思わないの?」

遥「それは… 思う…」

彼方「フフッ」

彼方「スクールアイドルではライバルだよ? お互い頑張ろ!」


遥「うん!」


侑&せつ菜「フフッ」

クリスティーナ「続ける決心をしたようですね」

せつ菜「急なお願いだったのに ステージを貸して下さり ありがとうございます」

かさね「おかげでメンバーの危機が救われたよ〜」

かさね「フフッ それに とってもステキなライブで やる気もらっちゃった!」

侑&せつ菜「あ…! フフッ」



遥「あっちゃ〜」

彼方「それ彼方ちゃんが食べる〜」

遥「お姉ちゃんは もっと上手にできたほう食べて」

彼方「気にしないのに〜」

遥「私が気にするの!」

遥「やっぱり私がアルバイトして お姉ちゃんが料理したほうが…」

彼方「遥ちゃんのアルバイトはダ〜メ!」

遥「むぅ… 過保護!」

彼方「いいんだも〜ん 遥ちゃんのお料理食べられて 幸せなんだも〜ん フフッ」

遥「もう…!」


遥「夕飯の時… 作り方教えて…?」

彼方「あ… もちろん!」




ゆっくりと走るこの道 何かが生まれかけてるんだ

それを伝えたいよ 君へと伝えたいんだ


毎日見上げる空の 青さも 季節ごと変わって

決まりはないね 自由に 描いてと 誘われてるよ


あせらないで 行こう!

ときめく 時間を楽しんで もっと!

みんな 自分が好きなことを 追求しちゃおう


どこに向かうか まだ分からないけど

面白そうな未来が待ってると

笑いあえる 君がいれば

嬉しい 今日も ありがとう


さあ これからはそれぞれの地図マップ

広げたら 気軽に飛び出そう

夢見て 憧れて また夢が見たいんだ

見たい、見たいんだ!



しずく「次回 『しずく、モノクローム』」