浅希「ねえねえ　帰り　どっか寄ってかない？」

今日子「あっ　じゃあ私　ゲーセン行きたい！」

色葉「え〜　ゲーセン？」

今日子「欲しいぬいぐるみあるんだよ〜」

色葉&浅希「フフッ」

色葉「いいよ　行こっ」

今日子「アハハッ　やった！」

色葉「超久しぶりに行くなあ」

璃奈「ゲーセン」

今日子「ぬいぐるみ　取る！」

色葉「何が欲しいの？」

今日子「え〜とね　くまちゃんが欲しい」

璃奈「あ…　あの！」

浅希「ん？」

璃奈（しゃべらなきゃ…）

璃奈「あ…」

浅希「ん？」

璃奈「何でもない」

「あ〜いいかも〜」

璃奈（思いを伝えることって　難しい）

璃奈（私の場合は特にそう）

璃奈（『友達になりたい』）

璃奈（そんなひと言を言うのにも　ハードルがある）

愛「ど〜したの？　フフッ」

璃奈（上級生…）

璃奈（怖い…）

愛「怖くないよ〜？」

璃奈「あ…」

愛「何か君　元気なさそうだったからさ〜」

璃奈「え？」

愛「あっ　ジョイポリの割引券じゃ〜ん！　ここって楽しいよね！」

愛「え？」

璃奈「お友達と行って下さい」

愛「あ〜…」

愛「じゃあ　一緒に行こっか！」

璃奈「え？」

璃奈（初めて　人とつながることができた）

璃奈（そして今の私は　もっとたくさんの人とつながりたいと思っている）

璃奈（今からでも　変われるんだ）

愛「りなりー　来る！」

璃奈「分かってる」

侑「うわあああ！」

侑「助けてぇ〜！　うわっ　うわあっ！」

歩夢「今行くよ　侑ちゃん！」

璃奈「すぐ救援に向かう」

愛「愛さんに任せなさ〜い！」

侑&愛「楽しかった〜！」

歩夢「子供の時に来たことあるけど　今はこんなアトラクションもあるんだねえ」

侑「二人ともすっごくうまかったよね！」

愛「えへへっ」

愛「りなりーとは　結構来てるんだ〜」

歩夢「こういうの得意なの？」

璃奈「ゲームは好き」

侑「今日はダメだったけど　今度またみんなで来ようよ！」

璃奈「うん」

歩夢「次は何やろっか〜」

浅希「天王寺さん？」

璃奈「あ…」

今日子「やっぱり天王寺さんだ！」

侑「友達？」

璃奈「クラスメート」

色葉「もしかして…　愛先輩！？」

愛「うおっ」

今日子「歩夢ちゃん！？」

歩夢「えっ？　ええ…」

色葉「スクールアイドル同好会のPV見ました！　愛先輩サイコーでした！」

愛「お〜　ありがと〜！」

今日子「歩夢ちゃんもかわいくって　私　ファンになっちゃいました！」

歩夢「直接感想言ってもらうの初めて…　フフッ　うれしい！」

侑, 色葉, 今日子, 浅希「かわいい！」

璃奈「あ…」

浅希「天王寺さんのも見たよ」

璃奈「あ…」

璃奈「ニャーン　とう！」

璃奈「ハジメマシテ　天王寺璃奈ダヨ！」

浅希「あのキャラ　面白いよね」

色葉「うんうん　動きとか！」

璃奈「あ…」

今日子「もしかして皆さん　ライブの下見に来たんですか？」

璃奈「ん？」

歩夢「ライブ？」

今日子「ジョイポリスのステージ　最近スクールアイドルもよくライブしてますよね」

色葉「先週　近くの東雲学院もやったみたいですよ」

侑「へ〜　そうなんだ」

今日子「早く皆さんのライブ見たいです！」

浅希「私も見たいです！」

色葉「ライブやって下さいよ〜！」

璃奈（友達に…　なりたい…）

璃奈「やる」

侑, 色葉, 今日子, 浅希「ん？」

歩夢&愛「ん？」

璃奈「私　ここでライブやる」

かすみ「え〜！　ライブ〜！？」

璃奈「うん」

せつ菜「それは急な話ですねえ」

璃奈「いろいろ足りないのは分かってる」

璃奈「でも　みんなに見てほしくなって…」

璃奈「それに　PVは　キャラに頼っちゃったから」

璃奈「クラスの子たちはいいって言ってくれたけど…」

璃奈「あれは　ほんとの私じゃないから…」

璃奈「ダメ…　かな？」

愛「いいんじゃない？」

璃奈「あ…」

エマ「決めるのは璃奈ちゃんだよ」

しずく「私は　璃奈さんの決めたことを応援しますよ！」

せつ菜「そうです！　チャレンジしたいという気持ちは大事なことだと思います！」

璃奈「うん」

果林「それで　いつやる予定なの？」

璃奈「たまたま空きが出たから　来週の土曜…」

かすみ「ほんとに急じゃん！」

侑「まあまあ　私も手伝うよ！」

璃奈「いいの？」

愛「愛さんも手伝う！」

歩夢「わ…　私も！」

せつ菜「もちろん私もです！」

彼方「結局みんな応援するんじゃん」

璃奈「…ありがとう」

侑「ステージ演出は　ある程度　希望に沿ってくれるみたいだけど」

璃奈「映像は自分で作れる」

愛「りなりー　得意だもんね」

璃奈「うん」

璃奈「でも…」

愛「ん？」

璃奈「パフォーマンスは自信ない…」

璃奈「だから　教えてほしい」

璃奈「スー…」

璃奈「フー…」

エマ「あ…！」

果林「曲がるようになったわね」

エマ「毎日柔軟してたもんね」

璃奈「うん」

しずく「口を思いっきり広げて〜」

しずく「スウッ…　♪アー…」

かすみ, 彼方, 璃奈「♪アー」

彼方&璃奈「♪アー」

かすみ「ああ〜…」

しずく「♪ア　ア　ア　ア　ア　ア　ア　ア　ア」

彼方&璃奈「♪ア　ア　ア　ア　ア　ア　ア　ア　ア」

かすみ「♪ア　ア　ア　ア　ア　ア　ア　ア　ア〜…」

しずく「プルルルルルル…」

彼方&璃奈「プルルルルルル…」

かすみ「プシュッ　ううっ…」

彼方&璃奈「プルルルルルル…」

かすみ「プルルル…　ううっ…」

彼方「すや〜」

しずく「彼方さん！？」

かすみ「寝てる！？　どうしよしず子！」

璃奈「プルルルルルル…」

かすみ「こんにちは〜！」

かすみ「今日はかすみん〜　会場のみんなを夢中にさせる魔法　かけちゃいますからね〜」

愛「イェイイェーイ！」

侑「もう　夢中だYO！」

愛「いいよ〜　かすかす〜！」

かすみ「かすかすって呼ばないで下さい！　ぷん！」

璃奈「これは何の練習？」

せつ菜「MCですよ」

歩夢「えっと…　今日は来てくれてありがとうございます」

歩夢「一歩ずつ頑張っていくので　応援　よろしくお願いしますね」

愛「うひょー！」

侑「歩夢〜　今日も　かわいいYO！」

侑「かわいいYO！」

歩夢「え　てれるよ…」

侑「そういうところがかわいいYO！」

かすみ「むむっ！　かすみんだって…！」

かすみ「かわいさなら負けてませんよ〜！」

璃奈「…難しそう」

かすみ「ん〜　そっか〜」

かすみ「まあ　MCをやらないスタイルもありますからねえ」

せつ菜「今度のライブでは　やらない方向で行きますか？」

璃奈「ううん　やる」

璃奈「今回は　できないからやらないは　ナシだから」

せつ菜「フフッ　了解です」

侑「ここが璃奈ちゃんのおうち？」

璃奈「うん」

璃奈「ライブ用の映像　試しに作ってみたから　意見が欲しい」

侑「え？　スマホで開けたの！？」

璃奈「家のことは全部　これでできるようにしてある」

侑&歩夢「おお〜」

歩夢「機械とかも得意なんだね」

璃奈「うん…」

璃奈「私　小さい頃から表情出すの苦手で　友達いなかったから…」

侑, 歩夢, 愛「あ…」

璃奈「一人でできる遊びばっかりしてたんだ」

璃奈「だから…　高校生になって　こんなに毎日がワクワクするなんて　思わなかった」

璃奈「こんなに　変われるなんて　思わなかった」

璃奈「みんなに　すごく感謝してる」

璃奈「私…　頑張るよ」

璃奈「あっ…」

愛「ライブ　成功させようね！」

璃奈「うん」

歩夢「ワン　ツー　スリー　フォー　ファイブ　シックス　セブン　エイト」

璃奈（そうだ…）

璃奈（もう私は…）

璃奈（この前までの私とは違う）

璃奈「ニャッ！　クルッ！」

璃奈「天王寺璃奈　ライブ開催決定！」

璃奈「会場は東京ジョイポリス」

璃奈「みんな　来てね〜　ニャンッ！」

かすみ「ダンス　いい感じになってきたね〜　りな子！」

璃奈「そうかな…」

せつ菜「ええ　この調子で頑張りましょう」

璃奈「うん」

今日子「あっ　天王寺さ〜ん！」

色葉「練習頑張ってるね〜」

浅希「ライブ　今週だよね？」

今日子「新しい動画見たよ〜！」

浅希「そうそう！」

璃奈（今の私なら…）

今日子&浅希「ん？」

色葉「あ…」

璃奈「もし　よかったら…」

璃奈「もし　よかったら…！」

璃奈「…あ」

璃奈「あ…！」

色葉「天王寺さん…？」

璃奈「何でもない…」

せつ菜「璃奈さん！」

璃奈「今日は　帰るね…」

かすみ&せつ菜「あ…」

璃奈「私は…」

璃奈「私は　変われない…」

果林「練習　始める？」

侑「えっ…」

侑「でも璃奈ちゃんが！」

果林「来ないでしょ　連絡してもつながらないんだから」

侑, 歩夢, かすみ, しずく, 愛, 彼方, せつ菜, エマ「あ…」

かすみ「なんでですか？　りな子のライブは明日なんですよ？」

かすみ「あんなに頑張って準備してたのに！」

果林「決めるのは璃奈ちゃんよ」

かすみ「う…」

果林「今日はもう解散にしない？」

侑「え！？」

エマ「果林ちゃん…　すねてる？」

果林「あっ…　なんで私が！」

エマ「明日は　モデルのお仕事入れないようにしてたもんね」

彼方「本当は璃奈ちゃんのライブ　楽しみにしてたんじゃない？」

果林「わ…　私はライブの内容に興味があっただけよ！」

かすみ「そうなんですかあ〜？　果林先輩もかわいいところあるんですね〜」

果林「おだまり」

かすみ「ふぇ〜　許してくらはい〜…」

愛「ちょっと　行ってくる！」

かすみ「えっ　愛先輩！？」

侑「私も！」

歩夢「侑ちゃん！」

かすみ「どこ行くんですか！？」

しずく「璃奈さんのところだよ！」

かすみ「へ！？」

彼方「まあ　ほっとけないよねえ」

果林「結局　みんなで行くのね」

せつ菜「行かないんですか？」

果林「行くわよ」

璃奈「ん…」

愛「りなりー　いる？」

璃奈「うわっ」

せつ菜「愛さん！　いきなり『りなりー』はどうかと思いますよ？」

愛「あ…　ごめんごめん　ふだんこの時間は　りなりー一人だって聞いてたから」

エマ「今　璃奈ちゃんの声聞こえた気がするよ？」

かすみ「ほんとですかあ？」

愛「りなりー」

璃奈「あ…」

愛「少しだけ…　いいかな」

璃奈以外「あ…」

侑「お…　お邪魔しま〜す…」

侑「璃奈ちゃ〜ん？」

璃奈「…ここだよ」

侑, 歩夢, かすみ, 愛「ハッ！」

かすみ「え〜！？　なんで段ボール！？」

かすみ「むぐぅぅっ！」

愛「りなりー」

璃奈「ごめんね　勝手に休んで…」

愛「ほんとだよ　心配したんだぞ」

愛「どうしたの？」

璃奈「自分が…　恥ずかしくて…」

璃奈「私は　何も変わってなかった」

璃奈「昔から　楽しいのに怒ってるって思われちゃったり…」

璃奈「仲良くしたいのに　誰とも仲良くなれなかった…」

璃奈「今もクラスに友達はいないよ」

璃奈「全部私のせいなんだ」

璃奈「もちろん　それじゃダメだと思って　高校で変わろうとしたけど　最初はやっぱりダメで…」

璃奈「でも　そんな時に　愛さんと会えた」

璃奈「スクールアイドルのすごさを知ることができた」

璃奈「もう一度　変わる努力をしてみようって思えた」

璃奈「歌でたくさんの人とつながれるスクールアイドルなら　私は変われるかもって…」

璃奈「でも…　みんなはこんなことでって思うかもしれないけど…」

璃奈「どうしても気になっちゃうんだ…　自分の表情が…」

璃奈「ずっとそれで失敗し続けてきたから…」

璃奈「ああ…　ダメだ…　誤解されるかもって思ったら」

璃奈「胸が痛くて…　ぎゅううって…！」

璃奈「こんなんじゃ…　このままじゃ…！」

璃奈「うっ…」

璃奈「私は　みんなとつながることなんてできないよ…」

璃奈「ごめんなさい…」

侑, 歩夢, かすみ「あ…」

侑「ありがとう」

璃奈「えっ…」

侑「璃奈ちゃんの気持ち　教えてくれて」

愛「うん　愛さんもそう思うよ」

侑「私　璃奈ちゃんのライブ　見たいなあ」

璃奈「あ…」

侑「今はまだ　できないことがあっても　いいんじゃない？」

璃奈「え…？」

しずく「そうですよね　璃奈さんにはできるところ　たくさんあるのに」

璃奈「そんなの…！」

歩夢「頑張り屋さんなところとか」

璃奈「あ…」

果林「諦めないところもね」

侑「機械に強いし」

せつ菜「動物にも優しいですよねえ」

愛「みんな〜！　どんどん言っちゃってずるいよ〜！」

愛「よ〜し　愛さんも！」

璃奈「うわっ！」

愛「フフッ」

璃奈「ちょっと…」

愛「ん？」

璃奈「恥ずかしい…」

かすみ「りな子」

璃奈「あ…」

かすみ「ダメなところも武器に変えるのが　一人前のアイドルだよ？」

璃奈「あ…」

愛「そうそう　できないことは　できることでカバーすればいいってね」

愛「一緒に考えてみようよ」

歩夢「まだ時間あるし」

璃奈「…ありがとう」

せつ菜「フフッ」

せつ菜「璃奈さんとこういうお話しできたの　初めてですね」

璃奈「あっ！」

彼方「そういえば　そうだねえ」

璃奈「ああ…」

璃奈「もしかして…」

侑, 歩夢, かすみ, 愛「わあっ！」

璃奈「これだ！」

色葉「わあ…！」

色葉「結構集まってるね」

浅希「天王寺さん　昨日休んでたけど　大丈夫かな」

侑「よし　OK」

侑, 歩夢, 愛（がんばれ）

しずく, 果林, エマ（がんばれ）

かすみ, 彼方, せつ菜（がんばれ）

璃奈「ニャニャーン！」

今日子「あれって！」

璃奈「はじめまして　虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の　天王寺璃奈です」

璃奈「今日は　今の私にできる精いっぱいのライブを見てもらいたいです」

璃奈「楽しんでくれると　うれしいな！」

「うわ〜！」

「わあ〜！」

璃奈「あ…」

璃奈「あ…！」

色葉, 今日子, 浅希「うわあ！」

璃奈「ハァ…　ハァ…」

璃奈「みんなと　つながった…」

璃奈「璃奈ちゃんボード 『にっこりん』」

浅希「おはよう　天王寺さん！」

今日子「ライブサイコーだった！」

璃奈「あ…」

色葉「いっぱい感想言いたいんだけど　お昼とか一緒にどうかな？」

色葉, 今日子, 浅希「ん？」

璃奈「うん　一緒に食べたいっ！」

しずく「起きて下さい　彼方さん！」

しずく「起きて下さい！　急がないと同好会始まりますよ！」

しずく「もう　彼方さ〜ん！」

彼方「次回 『ハルカカナタ』」