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1期3話
1期3話「大好きを叫ぶ」

果林「教えてくれる? 優木せつ菜さん?」


果林「否定しないのね」

菜々「もともと隠しきれるものとは思っていませんでしたから」

菜々「ですが 同好会以外の方に指摘されたのは 予想外でした」

果林「たまたま同好会に親友がいてね」

果林「なんで生徒会長が正体を隠してスクールアイドルをやっていたのか 興味はあるんだけど…」

果林「彼女たちが今聞きたいのは そこじゃないみたい」

エマ「せつ菜ちゃん…」

菜々「あっ…」

彼方「ちょっと お休みするだけって 言ってたじゃん」

しずく「グループを解散した時に 決めてたんですか?」

しずく「私たちとは もう…」

エマ「せつ菜ちゃん!」

菜々「優木せつ菜はもういません!」

しずく, 彼方, エマ「あ…」

菜々「私は スクールアイドルをやめたんです」

菜々「もし皆さんがまだ スクールアイドルを続けるなら」

菜々「『ラブライブ!』を目指すつもりなら…」

菜々「皆さんだけで続けて下さい」




いこう! 明日へ

虹のMelodies


青空 雨あがり

希望の 風吹いて(Blowing)

予感のなか 踏み出すよ 最初の一歩


世界が きらめいて

ココロに 湧き上がる(Feeling)

「いま駆け出したいんだ…!!」

(Move on!  Move on!)


重ねあう 小さなメロディ(Our Colors)

弧を描いてほら 街中に響くよ

(Reaching for far blue sky!)

いっしょに歌おう!


溢れだす この気持ち

胸の奥 もう止まらない

虹色Passions!

勇気に染まるColors


果てしない 空のむこう

ミライへと 橋をかけよう


高鳴る シンパシー

キセキ咲いてくよ

いこう! 明日へ

光れMelodies


そうきっと ひとりじゃないよ

いつもみんな いるから

夢と夢 繋いでいこう



せつ菜(大好きを叫びたかった私が 他の人の大好きを傷つけた)

せつ菜(私がなりたい自分は こんなのじゃなかった)

せつ菜(だから…)


せつ菜「あ…」

せつ菜の母「菜々〜? 入るわよ」

菜々「は… はい!」

せつ菜の母「勉強 はかどってる?」

菜々「もちろん」

せつ菜の母「来週模試でしょ? 頑張ってね」

菜々「うん」



菜々「分かりました 放課後の体育館使用の件については 私が話しておきます」

生徒会書記A「お願いします」

菜々「他に議題はありませんか?」

生徒会書記B「はい」

生徒会書記B「最近 困った子が校内に住み着いているみたいなんですが…」

菜々「どなたです?」



はんぺん「ニャー!」

菜々「待ちなさあ〜い!」

菜々「待て〜!」

菜々「こら! 待ちなさい!」

菜々「もう 止まって下さい!」

はんぺん「ニャウッ!」

菜々「ハァッ ハァッ…」

はんぺん「ニャアアア!」

菜々「ハァ… ハァ… もう逃げられませんよ」

菜々「あっ」

はんぺん「ニャーン」

菜々「情報処理学科1年 天王寺璃奈さん その猫を渡して下さい」

璃奈「ダメ」

愛「その子 学校の近くで 捨てられてたんだよね」

愛「どっちの家でも飼えなくてさ」

菜々「動物の放し飼いは 校則で禁じられています」


菜々「フフッ その子は 天王寺さんのことが 大好きみたいですね」

菜々「名前 何ていうんですか?」



菜々「あっ…」



菜々「なんでその曲…」

侑「え? どわぁ〜! 生徒会長!?」

菜々「高咲侑さん 音楽室の使用許可は取ったんですか?」

侑「いや〜 あの〜…」

侑「ごめんなさい!」

侑「アッハハ… ちょっと弾いてみたくなっちゃって…」

菜々「ハァ…」

侑「でも 初めてだと全然ダメですね」

侑「ところでさっき せつ菜ちゃんの曲知ってるみたいな感じだったよね?」

菜々「え?」

侑「いいよね『CHASE!』 動画とか見てたの? もしかして 会長せつ菜ちゃんのファン!?」

侑「もう そうならそうと早く言ってくれればよかったのに!」

侑「せつ菜ちゃんのこといろいろ話そう?」

侑「あっ そうだ! 『CHASE!』の他にオススメの動画あったら教えてくれない? 探してるんだけど全然見つからなくって!」

菜々「ち… 近いです!」

侑「あっ ごめんごめん」

菜々「そういえば先日お会いした時 優木さんに会いたがっていましたね」

侑「うん 大好きなんだ」

菜々「あっ…」

侑「この前 ライブやっててね すごかったんだよ〜」

侑「せつ菜ちゃんの言葉が 胸に ずしんってきたんだ」

侑「歌であんなに心が動いたの 初めてだった」

菜々「あ…」

侑「私 夢中になれるものとか 全然なかったんだけど あの日からスクールアイドルにハマって 今 すっごく楽しいんだ〜!」

侑「歩夢と一緒に 同好会も入ってね」

菜々「同好会?」

侑「そう! かすみちゃんが誘ってくれて…」

侑「あ… ち… 違うの! 勝手に部活始めたとかじゃなくってね?」

菜々「特に問題ありませんよ」

菜々「スクールアイドル同好会は一度廃部になりましたが 新しく立ち上げてはいけないという校則はありませんし」

侑「え?」

菜々「部員が5人以上集まったら いつでも申請に来て下さい」

侑「そうなんだ…」

菜々「優木さんが聞いたら 喜ぶでしょうね」

侑「だったら うれしいなあ」


侑「なんでやめちゃったのかなあ… せつ菜ちゃん」

侑「こんなことを思っても しかたないって 分かってるんだけどね」

侑「きっとせつ菜ちゃんも いろいろ考えてのことだろうし…」

侑「えへへっ」

侑「でも 時々思っちゃうんだよね」

侑「あのライブが最後じゃなくて 始まりだったら 最高だろうなって」

菜々「なんで そんなこと言うんですか?」

侑「え?」

菜々「いい幕引きだったじゃないですか」

菜々「せつ菜さんは あそこでやめて正解だったんです」

菜々「あのまま続けていたら 彼女は部員の皆さんをもっと傷つけて 同好会は 再起不能になっていたはずです」

侑「え? そんなことは…」

菜々「高咲さんは 『ラブライブ!』をご存じでしょうか」

侑「え…? スクールアイドルの 全国大会みたいなやつだよね」

菜々「そのとおりです 『ラブライブ!』は スクールアイドルとそのファンにとって 最高のステージ」

菜々「あなたもせつ菜さんのファンなら そこに出てほしいと思うでしょう?」

菜々「スクールアイドルが大好きだったせつ菜さんも 同好会を作り グループを結成し 全国のスクールアイドルとの競争に勝ち抜こうとしていました」

菜々「勝利に必要なのは メンバーが一つの色にまとまること」

菜々「ですが まとめようとすればするほど 衝突は増えていって…」

菜々「その原因が 全部自分にあることに気付きました」

菜々「せつ菜さんの大好きは 自分本位なわがままに過ぎませんでした」

菜々「そんな彼女が スクールアイドルになろうと思ったこと自体が 間違いだったのです」


菜々「幻滅しましたか?」

侑「あ…」


侑「…あ」

歩夢「侑ちゃん…?」

菜々「失礼します」




走り出した! 思いは強くするよ

悩んだら 君の手を握ろう



せつ菜「くっ…」


せつ菜(期待されるのは嫌いじゃなかったけど 一つくらい 自分の大好きなことも やってみたかった)


せつ菜《スクールアイドルが大好きなんでしょう? やりたいんでしょう!?》

せつ菜《こんなパフォーマンスでは ファンのみんなに 大好きな気持ちは届きませんよ!》

かすみ《でも!》

かすみ《こんなの全然 かわいくないです!》

かすみ《熱いとかじゃなくて かすみんはかわいい感じでやりたいんです!》

せつ菜《あっ…》


せつ菜(私の大好きが 誰かの大好きを否定していたんだ)

せつ菜(それは結局 ただのわがままでしかなく)

せつ菜(私の大好きは ファンどころか)

せつ菜(仲間にも届いていなかった)


せつ菜(けじめでやったステージが 少しでも同好会のためになったのなら…)


せつ菜(優木せつ菜だけが消えて)

せつ菜(新しい虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会が生まれる)

せつ菜(それが 私の最後のわがままです)



かすみ「えええええ〜!? イジワル生徒会長がせつ菜先輩〜!?」

かすみ「ていうか なんでかすみんを置いてそんな大事な話をしに行ったんですか!?」

かすみ「部外者のおねえさんはいたのに!」

果林「へえ? 面白いこと言う子ね」

かすみ「ひぃ〜! ごめんなさい! コッペパンあげるから許して下さい!」

かすみ「うううう〜」

果林「あら おいしそう」

果林「ありがたくもらっておくわね」

しずく「学校中探してもいなかったから…」

しずく「スマホにも連絡入れたんだよ?」

かすみ「へ? ほんと?」

かすみ「あ〜! 全然気付かなかった!」

侑「やっぱり菜々さんが…」

歩夢「ん?」

エマ「せつ菜ちゃん 本当にスクールアイドルをやめるつもりみたい…」

彼方「ちゃんと話そうとしたんだけど 取り付く島もなかったんだよ…」

かすみ「そうなんですか…」


果林「何か問題があるの?」

侑, 歩夢, かすみ, しずく, 彼方, エマ「ん?」

果林「あなたたちの一番の目的は もう果たしているように見えるけど…」

果林「はむっ」

果林「部員は5人以上いるみたいだし 生徒会も認めるって言ってるなら 同好会は今日にでも始められるでしょ?」

侑, 歩夢, かすみ, しずく, 彼方, エマ「あ…」

果林「本人がやめると言ってるんだし 無理に引き止める必要 ないんじゃない?」

侑「本当にやめたいのかな…」

果林「なんでそう思うの?」

侑「皆さんは どう思いますか?」

侑「せつ菜ちゃん やめてもいいんですか?」

しずく, 彼方, エマ「それは嫌だよ!」

エマ「せつ菜ちゃん すっごくステキなスクールアイドルだし!」

エマ「活動休止になったのは 私たちの力不足もあるから…」

彼方「彼方ちゃんたち おねえさんなのに みんなを引っ張ってあげられなかった…」

しずく「お披露目ライブは流れてしまいましたけど みんなでステージに立ちたいと思って 練習してきたんです」

しずく「せつ菜さん抜きなんてありえません!」

かすみ「かすみんもそう思います」

かすみ「せつ菜先輩は 絶対必要です!」

かすみ「確かに 厳しすぎたところも ありましたけど…」

かすみ「今は ちょっとだけ気持ちが分かる気がするんですよ」

かすみ「前の繰り返しになるのは 嫌ですけど…」

かすみ「きっと そうじゃないやり方もあるはずで…」

かすみ「それを見つけるには かすみんと全然違うせつ菜先輩がいてくれないと ダメなんだと思うんです」

彼方「大きくなったね〜」

かすみ「うわっ」

彼方「かすみちゃ〜ん」

かすみ「バカにしてませんか?」

彼方「本気で褒めてるよ〜 フフッ」

歩夢「せつ菜ちゃんは私たちに夢をくれた人だもんね」

歩夢「私も一緒にやりたい」

侑「うん!」

果林「でも 結局はあの子の気持ちしだいよね」

かすみ「ううっ! また水をさすようなことを…」

エマ「確かに 果林ちゃんの言うとおりだよ」

侑, 歩夢, かすみ, しずく, 彼方「あ…」

侑「はい! 私が話してみてもいいですか?」



愛「生徒会お散歩役員就任 おめでとうはんぺん」

璃奈「おめでとう」

愛「よかったね りなりー」

璃奈「うん」

愛「飼うのはダメだけど 学校の一員に迎え入れることは校則違反にはならないって…」

愛「へりくつだけど いいへりくつだよね」

璃奈「うん 生徒会長 いい人だった」



菜々「本日は以上です」

役員たち「お疲れさまでした」

菜々&役員たち「…ん?」

歩夢「普通科2年 中川菜々さん 優木せつ菜さん」

菜々「あっ…!」

歩夢「至急西棟 屋上まで来て下さい」

生徒会副会長「会長 呼ばれてますよ」

菜々「ちょっと 行ってきますね」



歩夢「ありがとね〜」

かすみ「これ お礼のブツです」

歩夢「かすみちゃん…」



菜々(わざわざ せつ菜と一緒に呼び出すなんて…)

菜々(まさか エマさん? いえ 朝香さんと考えた方が…)


菜々「あ… 高咲侑さん…」

侑「こんにちは せつ菜ちゃん」

菜々「あっ…」

菜々「エマさんたちに聞いたんですね」

侑「そうなんだけど… えへへっ」

侑「音楽室で話してた時に そうじゃないかなって」


菜々「それで どういうつもりですか」

侑「ごめんなさい!」

菜々「うっ!? 何ですかいきなり!」

侑「昨日 何でスクールアイドルやめちゃったのかなとか 言っちゃったから」

侑「無神経すぎたかなって」

菜々「ハァ… 気にしてませんよ」

菜々「正体を隠していた私が悪いんですから」


菜々「話が終わったのなら…」

侑「あっ まだあるの!」

菜々「何ですか?」

侑「私は…  幻滅なんてしてないよ」

侑「スクールアイドルとして せつ菜ちゃんに同好会に戻ってほしいんだ」

菜々「えっ…」

菜々「何を…」

菜々「もう全部分かっているんでしょう!?」

菜々「私が同好会にいたら みんなのためにならないんです!」

菜々「私がいたら! 『ラブライブ!』に出られないんですよ!?」

侑「だったら… だったら『ラブライブ!』なんて出なくていい!」

菜々「あっ…」

侑「あ… いや『ラブライブ!』がどうだからとかじゃなくって!」

侑「私は せつ菜ちゃんが幸せになれないのが嫌なだけ」

侑「『ラブライブ!』みたいな最高のステージじゃなくてもいいんだよ」

侑「せつ菜ちゃんの歌が聴ければ 十分なんだ」

侑「スクールアイドルがいて ファンがいる」

侑「それでいいんじゃない?」

菜々「どうして… こんな私に…」

侑「言ったでしょ? 大好きだって」

侑「こんなに好きにさせたのは せつ菜ちゃんだよ」

菜々「あ…!」

菜々「あなたみたいな人は 初めてです」

菜々「期待されるのは 嫌いじゃありません」

菜々「ですが…」

菜々「本当にいいんですか?」

菜々「私の本当のわがままを… 大好きを貫いても いいんですか?」

侑「もちろん!」

菜々「あ…!」


菜々「ハァ… 分かっているんですか?」

侑「ん?」

菜々「あなたは今 自分が思っている以上に」

菜々「すごいことを言ったんですからね!」

せつ菜「どうなっても知りませんよ!」

侑「あ…!」

せつ菜「これは 始まりの歌です!」



『DIVE!』

そう高く 果てなく

明日へと導くよ 私だけの光放ちたい

DIVE!


自信無くしてただ 心に鍵かけて

響く自分の声に 耳塞いでた

ホントはいつだって わかっていたんだよ

一番大切なもの ここにあること


無限に広がる宇宙そら迷わず進もう

Go!  Fly! Yes!  So High!


目を閉じて言い聞かせてみたってもう

カラダ中騒いでる 止まらないHeart

強く熱く…!!


そう高く 果てなく

抱きしめた未来が 軌跡になる

生まれた 思いが

明日へと導くよ 私だけの光放ちたい

DIVE!



せつ菜「ハァ… ハァ… ハァ…」

せつ菜「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会! 優木せつ菜でした!」

「せつ菜さ〜ん!」

愛「アハハッ!」


侑「せつ菜ちゃ〜ん!」

せつ菜「うわっ… うわああ!」

侑「もうだいっ好き!」

せつ菜「ちょ… ちょっと…!」

侑「フフフッ」

せつ菜「フフッ アハハッ!」

せつ菜「ありがとう」

かすみ「先輩 いつまでくっついてるんですか?」

歩夢「やっぱりすごいねえ!」

侑「うん!」

せつ菜「皆さん 見ていたんですか…」

エマ「おかえりなさい」

しずく「でも 少し盛り上がりすぎかも」

かすみ「先生に見つかったら 怒られちゃいますよ?」

彼方「どうする? 生徒会長〜」

せつ菜「今の私は 優木せつ菜ですよ!」

せつ菜「見つかる前に 退散しましょう!」

侑, 歩夢, かすみ, しずく, 彼方, エマ「お〜!」




ゆっくりと走るこの道 何かが生まれかけてるんだ

それを伝えたいよ 君へと伝えたいんだ


毎日見上げる空の 青さも 季節ごと変わって

決まりはないね 自由に 描いてと 誘われてるよ


あせらないで 行こう!

ときめく 時間を楽しんで もっと!

みんな 自分が好きなことを 追求しちゃおう


どこに向かうか まだ分からないけど

面白そうな未来が待ってると

笑いあえる 君がいれば

嬉しい 今日も ありがとう


さあ これからはそれぞれの地図マップ

広げたら 気軽に飛び出そう

夢見て 憧れて また夢が見たいんだ

見たい、見たいんだ!



愛「次回 『未知なるミチ』」